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2013年の12月 [社会]

2013年も終わりつつある。
ここのところ12月がわびしい。
すべての人が心安らかに暮らしているわけではないのに、ボーナスだ、クリスマスだ、正月だ、と上っ面の華やかさを押しつけられるので、12月はわびしさが際だってしまう。


思えば7年前(2006年)の12月に、「教育基本法」が改定されてしまったのだった。
寒い中、国会周辺は連日大きなデモがあって、全国から集まった人々が懸命に改訂反対を訴えたが、強行採決された。
このときも安倍政権。

安倍政権が倒れ自民党政権が倒れ、やっと民主党という新政権が誕生したと思っていたが・・。
昨年12月6日に衆議院選挙で自民党が圧勝。
わずか3年足らずでまた自公政権にもどり、あろうことかまた安倍内閣になってしまった。きな臭い動きが強まった気がしていた。

そして今年の12月。
イヤな予想通り「特定秘密保護法」が成立してしまった。

安倍政権は、教育基本法を改悪したくらいだから、多数の後押しがあれば、この際やれることはどんなことでもやるだろうとは思っていた。
昨年12月の絶望感は、この予感だったのだからおどろきはない。

それにしても、安倍政権というのは何を目標にこういうことをやろうとしているのだろうか。政治家の考えていることというのが、私には突拍子もないもののように感じる。

国民が主人公であり、「政治には透明さが必要」ということが国民の声としてますます大きくなりつつあるこの時代に、「秘密保護法」などというものは、明らかに時代の流れに逆行するものだと、誰もが思うのではないだろうか。

教育基本法改定の時と状況がよく似ている。
国民からの要請もないのに、法を変える、法を作る。
法案を成立させるために、民主主義国として守るべきルールを平然と無視する。
教育基本法のときは「やらせミーティング」が大きな問題となった。

今回の秘密保護法でも、形ばかりの「公聴会」が問題となった。

さいたま市大宮区での公聴会は、前日になって突然開催が決まり、前日の午後10時に何の突然の前触れもなく意見陳述人に決まったという弁護士さんの話が新聞に載っていた。
傍聴席は、政党に割り当てられた傍聴券がないと入れず。
用意された50席も30席しか埋まらず、会場周辺にか大勢に市民が集まって法案に反対する声を上げていた。70代の女性が、午前の国会中継で公聴会開催を知り、県庁や参院に電話をして議員の事務所の連絡先を調べ、ようやく開催場所がわかったものの、会場に入ろうとすると「何党ですか」「党の紹介がない人は入れません」と言われたという。(毎日新聞)

これだけのシャットアウトぶりを聞いただけで、これは、よほど悪いことを決めようとしているのだ、という印象を持つ。
国会での、与党のめちゃくちゃな強引さは本当にあきれるほどひどいものだった。

民主主義という言葉には、国民一人一人が国権の主体であるという意味だと思うが、主体であるということは尊重されるという意味も付随しているものだ。
尊重どころか最低限の礼儀もなし、というのはどう考えても、民主主義国家とは言えないのではないだろうか。

なぜこの法案なのか、ということが一般国民には伝わらない。
わからないけれども、特に自分に被害がすぐに及ぶというものでもなさそう、政府が必要と思っているのだから、それなりに何かしらのメリットがあるのだろう、ぐらいで、深く考えずに受け入れていく人がほとんどなのではないだろうか。
一部の良心的な人たちが、いくらその「危険性」を訴えても、政府は平気でそんな声は無視できる。なんといってもこの政府を支持しているのがわりと多くの国民なので・・。手慣れたものである。


教育基本法が変えられてもう7年になるが、はたして教育内容に変化があったのだろうか。
仰々しく言葉を連ねた新教育基本法になっても、抽象的な言葉での変化なので、現場ではたいした違いはないだろう。(幸いなことに?)
ただし、数10年後にどうかといえば、それはわからない。

この間ある本で、ほんの40年前はまだ、パーソナルコンピューターという概念がほとんどなかった・・という文を読んだが、なるほどそういえばそうだった。
それを考えると、30年、40年という歳月は、何かを劇的に変えるのに十分な長さなのである。
私たちには30年後の社会を十分に予測することは難しいのである。
だから、近い将来、今の比較的平和に見える社会が根本的に崩れてしまう、ということも十分可能性があるということになる。

その第一歩になるのが、教育基本法改定であったり、特定秘密保護法案であったり・・ということはあり得るだろう。

目に見える危険性に対しては、人は十分に警戒心を持つことができる。
ところが、30年先に起こるかも知れない不測の事態に対しては、警戒心を持つことは難しい。そういうことを考えながら今を生きることは難しい。

戦後ずっと人の暮らしは、豊かに、そして便利になってきたので、「世の中というものは時が経てば経つほど自然に良くなっていくものだ」という漠然とした期待を人々は持っている。その楽観性が覆されるときは来るかも知れない。

実際、福島ではそういう楽観性は覆されたのだが、ある地域のこととしてほうむられていきそうな気配がある。沖縄がそうであるように。

多数は少数を踏みつけにして平気でいられるのだ、という政治のあり方や世相に、より寒さを感じてしまう12月である。

<覚え書きとして(毎日新聞より)>

『特定秘密保護法の重大な欠陥』

1,恣意的で膨大な秘密指定
2,チェック機能の不全
3,情報公開は政府任せ
4,国会の権利を行政が制限
5,国民の「知る権利」を阻害

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ayu15

鳩山さんの失敗(と扱う報道)  反動右翼政権とまあ見事に不安適中です。
本人確認法・マイナンバー法・秘密保護法。
本人確認法から派生?で犯罪収益移転防止法。」
秘密保護法からみでがん情報隠ぺい法(仮称)
このあたりものすごくいっぱい日記に書いてます。



共通する考え方は取り締まり監視を厳しく・違反は厳罰・
ただし個人に限ると・・・。

自民党はどうみても旧東の国の共産党と「本質的に変わらない。民主主義の手法と異なるように思える」です。





政治家の憲法違反にはとても寛容で。
by ayu15 (2013-12-25 21:46) 

tamara

ayu15さん、コメントありがとございます。
加速度的にひどい方向に向かって行っていますね。
国民を自由にコントロールしたがる政治家というのは、いつの時代も、いろいろな国にいるものだと思います。
こういう政治家を支持する人たちが変わらないかぎり、どうにもならないと感じています。
by tamara (2013-12-26 21:19) 

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