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原発の行く末 [環境・自然]

菅首相が浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請した。
よかった、よかった。と、今はこう素直に喜んでいる。
これで逃げ場がなくなるということはなくなった。何しろ、日本列島を取り囲むように原発があって、安全な場所など日本にはほとんどない。何かあったらどこにも逃げようがない。3.11後も執拗に余震あるいは別の地震があって、これは東海地方は危ないな、そうなったら日本も終わりだな、と感じている。
地震国の日本で原発はどう考えても無理だったのだ。

福島原発事故が起きて、原発は無理なのではという世論が高まり、もと原発推進派の研究者や学者の反省なども報道されてきたけれど、一体この先原発をどうするのかについては、はっきりしていない。震災復興に全力を挙げたいときなのに、原発をどうするかという問題をそのままにしては、復興もスムーズに行かないだろう。

浜岡原発の全面停止も、安全面で強化ができるまで(およそ2年間は必要だそうだ)、というもので、50機以上ある原発をどうするかもまだ棚上げのままだ。それでも浜岡原発全面停止というのは膠着状態の原発問題に対する大きな一歩だと感じる。
さっそく、「菅首相のパフォーマンス」だの「政権維持のための苦肉の策」などいろんな意見がテレビやネットを飛び交っている。
(じゃ、全面停止を提言しなければよかったの・・? いいよ、いいよ、首相の座にしがみついたって・・。自民党だったら止まらなかったよ。)
たとえ、そういうことも考えての提言だとしても、菅首相には浜岡原発を危ないと思う気持ちが真に無い、などということはないだろうし、浜岡原発を止めることは取り合えず良かったというのは事実だ。
ウラのウラの話など事細かく知ってもそれでどうにかなるものではない。

福島原発事故によって、原発を今後どうするかは避けて通れない緊急の問題となった。
災害復興は場当たり的にはできないだろう。これまではそうであっても、これほどの震災が起きた後では、多くの人が一致して目指すことができる「理想の方向」というものが必要になるだろう。そのときに、「原発をどうするのか」はどうしても考えなければならないことなのだ。

不思議なのはこれほどの大事故が起きても、まだ、原発をなくすわけにはいかないだろう、と考える人がいることだ。これからも安全面の対策を強化してもらえば続けてもよい、と考える人がいる。「安全面を強化して」という言葉が、原発を受け入れることになり、その結果こういう事態に至ったのに、まだそんなことを言えるのは、やはり被災したのが自分ではないからなのだろうか。自分や自分の家族が放射線被害に直面する事態になるまでは考えは変わらないのだろうか。

人間が造ったものに事故はつきもの、という「あきらめ」の考えも一般的にある。安全管理の手抜きから、飛行機や列車の大事故も起きる。車の事故など日常的にある。
しかし、原発の事故を飛行機や列車事故と同列に並べることはできない。
飛行機や列車の事故は一瞬にして大惨事を引き起こすが、原発事故は一瞬の惨事で終わりなのではなく、その災害がいつ果てるともわからずに続くのだ。

「風評被害」ということがさかんに言われるが、それが放射能というものでしょう。目にみえないし、ちゃんと放射線量を測っているのかどうかも私たちにはわからない。
ここの野菜に、ヨウ素が、セシウムが、見つかった、と言われて、ではその周辺の野菜は大丈夫なのだろうかとは誰でも思うことだ。すべての周辺の土地、野菜をまんべんなく調べることなど、到底できそうにない気がする。
原発に備えてあるはずの測定器さえ、故障だの、数が足りないなど言っている始末なのだ。一カ所検査してその辺りは大丈夫、と言われても、他は大丈夫か、全部ちゃんと調べたのか、と、人が疑心暗鬼になるのは当たり前のことだ。
私などは、そんなに神経質には考えなくてもいいや、と思う質だけれど、若い人、小さな子供がいる家族はそうはいかないだろう。

海の中の放射線量など、とても測れるものではないと感じる。たまたまどこかで測ったらこうだった、という情報しか得られないと思う。

福島原発事故で避難した方が、「いつになったら帰れるのか」「戻れるのかもどれないのかはっきりしてほしい」と思うのは当然のことだが、「事故の収束に今後どの位の年月がかかるのかわからない。永久に一部の地域が立ち入り禁止になるかもしれない。」というのが原発事故の特徴なのだと思う。

原発事故はそうしたものだということを知っているかどうかは「教育の問題」もある。
経済に支配されている社会では、経済効果ありという政策が、巧妙にあらゆるメディアを使って宣伝され、人々の頭にしみこんでいく。<この世で一番大切のは金(経済)ですよ。それを考えないのは大人ではありませんよ!>
これに対抗して、科学的に見て可能なのか、危険性はどうなのか、は「教育」(学校だけではなく広い意味で)でしか伝えられない。
それなのに、原発が日本に造られ始めると、全国の校長、教頭を対象に「原発に対する理解を深める」ための講習会を開き、ぜいたくな接待まで行われていたらしい。(参加した人から聞いた話)
学校で、原子力について講演をしてもらおうとすると、原発に反対っぽいの立場のひとは困る、と言われる始末だった。大方の学校では、原子力の平和利用をすばらしいものとして教えていたのではないかしらん。

今、こういう事態になって、さすがそれはできなくなっただろう。
でも、まだまだ、みんな呑気すぎるよ、と感じることは多い。

今まで、原発推進の力が君臨してきたのだから、いきなり全原発撤廃はむずかしいだろう。でも5年、10年計画で、原発をなくす方向でいく、ということは共通の目標にできるはずだ。そうなってほしい。
少なくとも、福島原発の事故が完全に収束し、最後どうなるかを見届けるまでは日本中の原発停止を進めるよう必死に努力べきだ。陸から海まで汚染し続けながら、平気で、これまでと変わらず原発利用はおかしいだろう。

チェルノブイリは25年経ってもまだ終わっていない。
福島原発の最後を見届ける前に、たぶん私はこの世にはいないね。
ところで誰かが言っていた。これからは「廃炉ビジネスが儲かるぞ〜」と。

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コメント 8

solea01

首都圏のための福島原発だったのだから、推進派は東京湾に原発を作るように言うべきですね。石原だって安全か確認されればかまわない、と言っている。
でも原発に絶対安全はないです。昨日のNHKスペシャルで今回の津波も従来の観測データで考えられない現象が起きている。天変地異というものは「想定外」があり得る。だが原発では「想定外」が許されない。これは推進派の主張の根本的矛盾だと思う。
by solea01 (2011-05-08 19:30) 

tamara

本来なら首都圏に置くべきですね。でも、石原だって、東京には原発は来ないと確信しているから、好きなことを言えるのではないかと思います。まだ原発を続けていくべきだ、と考える人は、安全な場所にいて、危険を回避するための手立てやお金を持っている人、あるいは、原発で利益を得る人なのでしょう。
「安全性」というものは、誰かに保証されれば大丈夫、というものではなく、最後は自分が判断するものだと思います。「原発やめたら自治体財政が破綻する」などというコメントを読むと、あまりに情けないです。
by tamara (2011-05-08 22:29) 

ayu15

頼りないといわれる(メディアの報道みてそういう印象もつ)首相が珍しく?バシッといったようですね。ところが言ったら言ったで批判が・・・。

もし浜岡が事故起こしたら、批判するえらいさんやメディアはどう責任とるんでしょう??
役員報酬は当然全額返上(さかのぼり)でお願いしたいです。
by ayu15 (2011-05-09 10:44) 

tamara

まったくです。
福島原発事故が収束するのにどの位の年月がかかるのか、どれほどのお金が(補償も含めて)かかるのかわからないというのに、まだ原発を続けるべきという人がどうも3割はいるらしいです。「原発推進税」というのを設けたらどうかと思いますね。
by tamara (2011-05-09 20:34) 

じゅんじゅん

4月より、自宅近くの海の側の中学へ行っています。九大学研都市という駅があって、近くに元こう(文字が出ません)防塁跡があり、大変風光明媚なところですが、津波が来たら確実に流される場所ですね。加えて玄海原発から50圏内という所に位置します。玄海はプルサーマルをついに日本で最初に始めてしまった怖ーい原発です。
by じゅんじゅん (2011-05-09 20:36) 

tamara

東海地震がきたら細長い島国の日本で安全なのは沖縄とか最北の北海道とかでしょうか。いずれにしても出発点で間違えてしまい原発だらけになってしまったのは、なんとも取り返しがつかなく残念なことです。
廃棄物をモンゴルに捨てるなど、恥ずかしくないかと思います。

*認証コードが読みにくいとのこと、すみません。正しいコードでも何度かやらないと届かないみたいなのです。
by tamara (2011-05-09 20:48) 

じゅんじゅん

まったくそのとおりですね。そもそも、原発とは自分だけが豊かで便利な暮らしができればいいとか、利権とか差別の構造から成り立っていると思います。始まりはなんといっても原爆なのですから。
by じゅんじゅん (2011-05-10 06:16) 

ayu15

経済からみる原発かいてみました。わからないことだらけなので、送電線開放して非原発の新規事業者と東電を競争して比較。
保険会社に見積もらせリスクのコスト比較。

さあどちらが経済的でしょう。
by ayu15 (2011-05-17 12:39) 

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