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震災の一ヶ月後 [環境・自然]

先日、数ヶ月ぶりに茨城県谷和原市にあるスリランカ料理店、レストラン294に行ってみた。
店内は昼食時というのに客がいない。震災で天井が壊れていて、壁にもひびが入っている。店内に置いてあった大きな観葉植物の鉢も、地震で壊れたのかなくなっている。食器類もすべて壊れ、スリランカから取り寄せたそうだ。

料理を待つ間、オーナーのサラットさんが、被災地見舞いに行ったときの写真を見せてくれた。大地震後、もう3回も茨城、福島の被災地に行ってカレーをふるまって来たそうだ。
ボランティアで被災地に入ることも大変なときに、スリランカの人たちが3回も炊き出しに行ってくれたことに驚いた。店も地震の翌日からずっと開いていたそうだ。

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右端がサラットさん

サラットさんに「スリランカに帰らないのですか」と聞いた。子どものいる人はみな帰ったという。「サラットさんは?大使館から帰国するように言われているのでは?」と聞くと、
困ったような顔をして、
「地震の後、この辺のコンビニから食料がなくなった。だからレストランで料理のテイクアウトを始めた。」
そう言えばテイクアウト500円、と看板が出ていた。「水もつけたんです。」とサラットさん。そうか、この町に住んでいる人達のために利益を考えずにカレー料理を作っているのだ、とわかった。
ランチは790円、夕食も今はランチと同じ価格でサービスしているそうだ。

それでも夕食に来る客はあまりいないらしい。「隣のソバ屋さんもまったく客が入らずに困っている」と心配そうな顔。
赤字を承知で店を開いているのに、わざわざ埼玉から来てくれたからと、2品も余計にサービスしてくれた。スリランカは、2004年12月のスマトラ沖地震による大津波で被災民50万人(死者3万1000人)という大災害に見舞われている。そのとき日本から支援されたことを忘れていない。本当に人情に厚い人たちだ。

谷和原は茨城県の南西部なので、地震の被害で家々の瓦が崩れていたり壁がひび割れていたりしている所があるけれど、それほど大深刻には見えない。それなのに、地震後一ヶ月経つというのに街に活気がない。こんなところに原発事故の影響が出ている。水道水の心配や大気中の放射線量の多さの心配やらで、街が息を止めてしまっているようだった。

谷和原の桜の名所に行って見た。小貝川の土手に沿って、桜と菜の花が真っ盛りで、この風景は昔からこんな風だったんだろうな、と思った。
ウグイスがきれいな大きな声で鳴き、のどかで美しい風景だった。

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かなり風があって、「この風はどのくらい放射性物質をまき散らしているのかな・・」とつい考えてしまう。谷和原は福島原発から100kmほどなので放射能汚染の心配はやや高い。それでも桜に誘われて人がけっこう集まり静かに花見を楽しんでいた。
目には見えない「怖ろしいもの」が漂っているかもしれない空気の中で、桜並木はかえって美しく悲しく見えた。放射能さえなければねぇ・・。

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