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原発の行く末(2) [環境・自然]

震災以後、新聞は以前よりずっと丁寧に隅々まで目を通すようになった。
今は毎日新聞を購読しているけど、毎日新聞の震災に関する報道はかなり詳しく、また、その時々のまとめの記事もていねいでわかりやすい。
紙面論調は一貫して「原発見直し」「新エネルギーへの転換を」というもので、読んでいても「読み甲斐」がある。
新聞を読み比べたりはしないが、回りの人の話を聞くと、原発事故の記事に関しては毎日新聞は他紙に勝っているようだ。

それに比べNHKの報道はひどい。どんどんひどくなっている。
先日、1号機の燃料がメルトダウンをして圧力容器の底に穴があいているらしい、という事実が報道された。
この大変な事態を説明するのに、NHKのニュースキャスターとコメンテーターが、平気な顔してまるで何でもないことが起こったような口ぶりで話していた。
毎回、深刻な事態をことさら何でもないことのように報道するのに腹が立つが、13日の報道には本当にひどかった。キャスターが大越健介、コメンテーターが岡本孝司。
明るい声で大越キャスターが言う。「今回のことについてどう思われますか?」 岡本氏が明るい表情で「こうなるとは思っていなかったんですがね。ちょっと残念ですねぇ。」あっけにとられた。
何が「ちょっと残念」だ。なぜ「大変な事態に起きていた」と言わないのか。

浜岡原発の停止を菅首相が要請したときは、市民の声として、唐突だ、他の原発も影響をこうむる、電力不足が心配だ、など反対意見ばかりを報道しているように思われた。
(スズキ自動車会社の鈴木会長がインタビューで「昨年の猛暑のときの電力需要でも、原発ぬきの電力供給で間に合う数字だった」と述べていたが、そうだろう、そうだろう、と思った。不思議なことに、去年の猛暑では「節電」の必要性がさっぱり聞かれなかった。)

今はさすがに浜岡原発停止に対する反対意見はなりをひそめている感じ。
今日(5月16日)の毎日新聞の世論調査(被災地をのぞく)によると、浜岡原子力発電所停止について「評価する」が66%、「評価しない」(25%)だった。
浜岡原発以外の原発については「停止する必要はない」が54%、「停止すべきだ」は34%。
これからの日本のエネルギー政策については、「原発は減らすべきだ」が前回より6ポイント増え47%、「原発は全て廃止すべきだ」が12%、「やむを得ない」が9ポイント減って31%、とあった。

浜岡原発の運転停止については、内閣支持層の78%、不支持層でも61%が評価したていて、支持政党別にみると、民主党支持層の79%が評価、自民党支持層でも58%、公明党支持層でも55%がそれぞれ評価しているとあった。

14日の日曜討論を半分くらい見ていたら「これからは自然エネルギーの方向」をどの党も強調していて(確か公明党は「原発の安全性を確認しつつ」とも言っていたけれど)、原発志向が方向を変えつつあるように思えた。
菅首相の「一番危険な浜岡原発をストップ」は、推進派からはあれこれ言われたが、これまでの流れを大きく変える布石になったのだと思える。でも油断はできない。
必ず反対方向へ揺さぶろうとする力は働くだろうから。

今一部で話題になっている、「内閣不信任案」の話も、そういう力の一つだろうか、という気がしてきた。
野党と与党内の小沢派(?)が、政府の福島第一原子力発電所の事故対応について、
「今のような対応を続ければ、被害は拡大し、取り返しのつかないことになる」と批判を強めているのだという。
今のような対応が何をさすのかわからないけれど、政府の対応がおかしいという所はたくさんある。文科省などまったく信じがたい対応ぶり。
ただ、これらの対応のすべての責任が菅首相にあるということにはならないような気がする。

たまたまヤフーの「内閣不信任案の提出は『適切』か『不適切』かという意識調査を見たら、結果があるはっきりした傾向を示していた。(信憑性が持てない調査という気がするけれど、もともとあてにならないのが世論というもので、あてにならずフワフワしていてもそれなりに影響力を持つからこわい。)

それによると、内閣不信任に賛成しているのは、支持政党別にみると、自民党支持者、公明党支持者の7割以上、民主党支持者の51%くらい。これに対して、今の時期は不適当と答えているのは、共産党と社民党の7〜8割、というものだった。
菅首相はつまり、保守派から疎まれ、革新勢力から支持を得ているようだ。ようやく、政治界のいろいろな動きの不愉快さの正体がわかったような気がする。
(この政党別の結果表は今は削除されているみたいです)

菅首相への批判が、私からみるとどうもピント外れな感じがする理由がここにあるように思った。たぶん、菅首相は「左」からの支持もあるため、同じ民主党内の別の派閥や、自民党や公明党やら、NHKから疎まれるのではないか。
愛国心を掲げる人たちから絶対に嫌われるタイプなんだと思う。

福島原発の見通しはますますわからなくなってしまった。原発被災は果てもなく続くのだろう。「原発ぬきのエネルギーを、節約して使う方法」を考えていく方がかえって現実的な策になったのではないかと思う。



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コメント 6

solea01

NHKのニュース解説はもとから悪かったと思います。実態が極めて危機的な事態で進行していたのに、「冷静に」(なれるわけないだろう!)というばかり。でも日曜夜のETV特集「放射能汚染地図」みたいな作品もある。これみてさらに暗澹とした気持ちが増幅されましたが。NHKの中にも良心派がいるが、主流にはなれないのではないかな。ところで福島の事故はますます厳しい状況になっているように思います。
by solea01 (2011-05-17 20:10) 

tamara

良心派は主流にはなれないのでしょうね。
ETV特集はいい作品が多いです。良い番組を作る局が流すニュース報道は、やはり多くの人が「確かなニュース」として拠り所にしがちで、そこが一番の問題だと思います。

by tamara (2011-05-17 21:05) 

ayu15

一番良く読む新聞は民主党嫌い(同紙が本で民主党は危ないと書いてます。)なので報道は偏りますが、ひたすら民主党政権の不安あおり力を出せないようにしているようにも見えなくもないような??

原発の危険性を報道する海外と「冷静な対応」の各メディア。
なにが正しいのかわからなくなります。
また書きました。なんと週刊誌が本当のこと書いていたようで・・・。
by ayu15 (2011-05-19 12:11) 

jmh

原発に関してはNHKの報道は本当にひどいですね。「客観的」という言葉を勘違いしているのかそれとも、あえて危機的な状況を隠そうとしているのか・・・。
私は東京新聞ですが、このところずっと一面トップに特集を組んで、地震発生以来の東電・政府の動きを細かに調べ上げた記事を載せています。がんばっているなあと感じています。
読者の知りたい情報と新聞として知らせたい情報をともにしっかり伝えていくところに新聞の姿勢が現れると思います。メディアの使命とは何かを考えさせられますね。
by jmh (2011-05-19 22:21) 

tamara

危機的状況を隠しているように見えますねぇ。いくらなんでもウソの報道はできないから、意図的に事実の伝え方を工夫して、「たいしたことではない」という印象を植え付けようとしているように思えます。
東京新聞も誠意が感じられる記事が多いと聞きます。ほとんどの場合、体制側に都合の良いことことになる「中立」記事より、人々に寄り添った(もちろん弱い立場の)熱意ある記事を読みたいです。
by tamara (2011-05-20 23:39) 

じゅんじゅん

今、中学2年生に「持続可能な社会」をテーマにポスターを制作させています。そのため、地球温暖化に加えて原発についても調べさせているのですが、You tube を見ると原発推進派と反対派、どちらも過激な映像が見られて、考えさせられますね。最近、生徒が使うPCルームではYou tubeは有害サイトとみなされ、教育委員会が見られないようにブロックしているので、私はわざわざ自宅でダウンロードして、もっとも過激なやつを推進派、反対派ともあえて生徒に見せているのです。(笑)私は日本経済新聞を購読していますが、原発についても経済にからめて書かれているので面白いですね。日本には資源がないからとか、温暖化防止のためだとか、もっともらしく言っているけど、原発は利権で動いていることに少しでも生徒に気づかせたいものです。
by じゅんじゅん (2011-05-21 07:09) 

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