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イワナとカワネズミ [環境・自然]

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山中の家の前の川では毎年イワナが孵化して、雪解けの4月にはかわいい稚魚を見ることができる。川の数百mぐらいの間に10カ所ほど川の流れがおそくなっている所があり(淵というにはあまりにも小さいが)、そういう場所ごとに必ずイワナがいる。
一番大きな場所には一番大きなイワナがいる。
ふしぎだなぁと思っていたのは、毎年孵化しているのに成長したイワナの数があまり増えないことだ。
減りはしないが増えもしない。

ここでは誰もイワナを釣ったりしないのだが、やはり生きのびるのはむずかしいのだろうか。
そう思っていたら、家の前のU字溝から銀色に光る小さなものがシャシャシャーッ、と川を登って行くのを見た。
イワナが身をくねらせて泳いでいるのかと思っていたが、どうもイワナの動きとちがうようだ。
数回それを見て、ネズミだと気がついた。
調べて見ると渓流にはカワネズミが住むという。
「こいつがイワナの稚魚を食べていたのか」となぜか腹が立ってしまった。
考えてみればイワナも川ネズミもこの川の住人であり、カワネズミに悪いところはない。
なのにいつもイワナを眺めて楽しんでいる私は、カワネズミは可愛いイワナを食べる奴、という風に一瞬思っていた。
似たような勘違いをすることは多いような気がする。人間は錯覚しやすいのだ。

カワネズミは日本固有種。
<長野県では、北信、中信、東信、南信に生息し低地から標高2.000mまでの山間地の渓流に生息。個体数が少なく、長野県では準絶滅危惧種NTに指定され、「かっては県内の河川に広く分布していたが、水質汚染などにより、山間地の渓流に分布域が縮小していると考えられる。」とされている(長野県版レッドデ−タ・ブック、動物編、2004)>
イワナもカワネズミもきれいな川にしか住めないのだ。

天敵から生きのびたイワナは小さくても丸々太っていて敏捷。人の気配を感じるとサッと葉の陰や川底の落ち葉の中にもぐりこむ。
何年か生きのびて大きくなったイワナはライトで照らしてもそれほどあわてて逃げまどったりせず、ゆったりと泳いでいる。
堂々として立派でほれぼれしてしまう。

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コメント 5

jmh

こういうすばらしい(昔ならフツーの)環境を次の世代に引き継ぐことが、どれだけ大変なことか・・・。今回の原発事故でよくわかりました。
そのためには私たちそれぞれひとり一人が、未来へのビジョンを持つこと、そして行動することがどうしても必要なのだと・・・。言うのは簡単だけど、なかなか難しいことですね。
by jmh (2011-06-08 23:08) 

tamara

まったくです。
澄んだ水の中を泳ぐイワナを見ていると、無惨な環境破壊が実際に起きてしまったことが絶望的に思われます。
土壌、川、海の汚染の具体的な状況は、怖くて知る気にもなりません。
by tamara (2011-06-09 20:41) 

じゅんじゅん

昨日、福岡でも実行された『6.11反原発世界同時多発デモ』に参加してきました。個人的にはここで原発を止めたところで、もう、福島で終わってしまったんじゃないか、とかなり悲観的です。アメリカ各地で福島より飛んできた放射性物質が検出されているというし、チェルノブイリは3週間で止まったけど、福島は3ヶ月たった今もメルトダウンした燃料棒から地下深く放射性物質を出し続けているんです。先週、広瀬隆さんの講演を聞いてますます確信を深めました。広瀬隆さんの講演は今を去ること20年前、チェルノブイリ事故が起こって5年後、まだ福岡に居た頃に、やはり玄海原発のことで聞きに行った覚えがあります。しかし喉元すぎれば忘れてしまう多くの日本人と同様に、私の頭の中から原発が遠のいていた時にこの福島です。太平洋に放出された何億?兆?京ベクレルと言われる放射能がやがて海の生態系に凝縮してやがて、人間の体に異変を起こさせることは間違いないのです。原子力保安員も東電も菅直人もその頃にはこの世には居ないから関係ないのでしょう。
by じゅんじゅん (2011-06-12 07:06) 

tamara

怒りからだんだん絶望感と無力感にとらわれつつあります。これまで何かある度にこうでした。
原発にしろ基地にしろ、人間を含めた自然を破壊することに反対しない人がいるということはどうにも理解できません。思考経路が違うのかなぁ。
でもこれがどうしようもない現実のようです。逆転するのはいつのことか、私たちが生きているうちにそういう日は来るのか・・。
イワナのいる川を眺めていたりすると心が静まりますよ。

by tamara (2011-06-12 11:26) 

ayu15

どんな経済でもどんな社会構造でもつねに流れてその地域を潤しています。


http://life-ayu.blog.so-net.ne.jp/2008-04-05


目の前の現実は無視できないでしょうけど、守るべきものも考えたいです。


by ayu15 (2011-08-02 09:01) 

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