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政治献金 [社会]

16日の毎日新聞によれば政権交代して半年経った今、内閣支持率は43%に落ち、不支持率が45%で、支持率低下の主な原因は「政治とカネ問題」だそうだ。(もっと低い支持率を示している他新聞社もある。)
鳩山首相の身内からの贈与問題、小沢幹事長の政治献金疑惑、そして小林議員と北教祖の政治資金規正法違反と、これだけ「政治とカネ問題」が立て続けに世間を賑わしたのだから、支持率が下がるのも無理はない。これだけ不名誉な問題があって43%を維持しているということは、まだ新政権に対する国民の期待があるということなのだろう。
それに新政権の「政治とカネ問題」を許せないからといって、これまで「政治とカネ」にどっぷりつかってきた旧政権を再び支持する気にはなれないのではないか。

鳩山首相と小沢氏の問題だけでも大事件だったのに、北教祖の政治献金問題が出てきてしまったのだからダメージは大きかった。このことが事実だとして、北教祖がなぜ法を犯す方法で献金をしたのか理解しがたい。政治資金規正法という法律がザル法で、本当は誰も彼もが献金している事実があるとしても、きちんと法を守って応援すればよかったのではないか。同じ献金でも、個人献金(カンパ)なら全く問題はないのだから、法に触れるようなやり方を取った不注意さが不思議でならない。
「教員というのは政治献金をしてはいけない」と勘違いする人が出てくることが心配になる。日教組に対する批判というのは、これまた私にははっきり理由わからないのだが、かなり根強いようで、「日教組が日本の教育をダメにした」などという言葉をわりと常識的な人から聞いたりする。「どうして?」と聞くとたいしてはっきり答えられない人が多い。ネットを検索すると日教組に関してはほとんどが攻撃しているものばかり。本当のところは当の日教組の組合員や執行部に聞かないとわからないが、不当に攻撃されているように見える。なにか「ニッキョウソ」の「キョウソ」という言葉の響きが、狂信的な宗教の「教祖」と似ているからいけないのかなあと思ったりする。

日教組のどういう点がダメかはわからないが、私から見ればただの労働組合である。組合は、給料や雇用条件の改善という目標の他に、仕事内容においてもそれぞれの分野での理想や目標を確認し合うことが必要になる。教員の労働組合が、教育目標について研修を深めるのは当たり前のことで、これがなかったらおかしい。「ニッキョウソ」批判をする人たちはこの教育観について反対しているのだろうと思うが、批判の仕方がどうもあまり客観的でもなければ冷静でもない。どんな組合もいろんな人が集まっている。組織が大きくなれば組合活動においてダメな部分も出てくるだろう。理想的な組合というのはなかなかないものだという気がする。小さい組合、初期の組合では、お互いによく分かり合い協力できることでも、所帯が大きくなればいろんな所でずれが生じることが多い。

だからといって、組合活動に関して欠点をあげつらうだけではどうにもならない。「なぜ労働組合が必要なのか」といことを常に考えていないと「組合はダメだ」という考えがまかり通り、組合の存在意義もなくなってしまう。今の日本の社会で「労働者による運動」が衰退してしまったのは、組合=悪と決めつける宣伝が効を奏したためだろう。足の引っ張り合いや組合分断、部外者が声高に組合を批判することによって、組合はどんどん縮小されて、組織率はほんのわずかだ。「日教組が教育をダメにする」などいう話を聞く度に、日教組に今そんな力はないでしょ、と思う。

政治献金の話にもどすと、「政治資金規正法」というのはまったくわかりずらい。途中で読む気が完全になくなる。だらだらと文章が続いているのは何度も何度も、都合に合わせて法を改定してきたせいだろう。
「企業献金を全面禁止にしよう」と新政権が言っている。もっともなことだと思うが、「政治資金規正法」には企業や団体や組合による献金は禁止と、すでにしるされている。

第5章 寄附等に関する制限 には
<(会社等の寄附の制限)
第21条 会社、労働組合(労働組合法(昭和24年法律第 174号)第2条に規定する労働組合をいう。第3項並びに第21条の3第1項及び第2項において同じ。)、職員団体(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第108条の2又は地方公務員法(昭和25年法律第261号)第52条に規定する職員団体をいう。第3項並びに第21条の3第1項及び第2項において同じ。)その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。 《改正》平 11法159>
とある。

すごくわかりずらい文でよ〜く読まないとわからない。<政党及び政治資金団体以外のものに対しては、政治活動に関する寄付をしてはならない。>というのは政党及び政治資金団体に対しては寄付をしてよい、ということでいいのかな。
さらに <2 前項の規定は、政治団体がする寄附については、適用しない。>とある。つまり政治団体はどんな寄付も(誰に対しても)OKということか?
素人には政党も政治団体も政治資金団体も同じようなものじゃないか、という気がするのだけど。

それから企業献金と組合などの団体の献金について言えば、私には組合団体による献金の法が企業献金よりよほどましなのでは・・?と思えてしまう。強い者がさらに利益を得るための企業献金より、労働者が働く者の権利を守るために、政策に期待できそうな所に、組合が献金する方がまっとうではないかという気がする。
(もちろん、団体の献金は個々の意思が尊重されなくなるおそれがあるから、個人のカンパのみ、というのが正しい。)
教職員組合による献金が問題になり、「教員は献金できない」と誤解されると困る。
教員は献金できるんですよ。もちろん、学校の外で政治に関わることもできる。教員という立場を利用しさえしなければいいのです。
今思うと、安倍内閣によるあのひどい教育基本法(悪)改定のときなどに、教員ががんばらないで誰ががんばれたのだろう?
実際は、(私から見れば)多くの教員は忙しさに疲弊し、長年の行政による教育支配にあきらめムードが蔓延して、たいして行動もできなかったじゃないかと、うらめしい気がするのである。
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herosia

学校の先生・・・貧乏だけど少しは他人(どちらかというと貧乏な)のためによかれと思い行動をしようという気持ちを持っている人が多い。大企業の社長・・・お金持ちでもっと自分だけもうかればいいとおもっている人が多い。この分類って少しでも合っているなら、なけなしの金を政治に使う教員がいたら、社長よりもいい選択をすると思うんですが。もっとも「理性があるなら貧乏なはずがない」というアメリカの資本家の考えがすでにこの国を支配しはじめているとしたら別ですが。
by herosia (2010-03-19 00:42) 

solea01

組織ってのは巨大化するほど腐敗しやすくなる。数年前の自治労不祥事問題では自治労トップが自宅購入資金に一時組合の資金流用したりした(返金済みだが)のだから頭にきますね。ちなみに自分のいる区職労は自治労傘下でも、労働組合として特定の政党候補の応援はしないのが原則として各人の判断です。区長選などで革新統一候補が擁立された場合は支援しますけどこれが正しい立場だと思う。北教組は主任手当問題などでがんばっていたところのようですが、こういう問題が起きると組合たたきキャンペーンに利用されやすい。慎重であってほしかったですね。現場でまじめにがんばっている組合活動家はすべて影響を被る可能性があるわけです。ただ、これでオールオアナッシング的に組合の活動を評価する動きには正面から対決するしかないです。
by solea01 (2010-03-20 08:05) 

tamara

自民党の誰かが「まじめな先生は迷惑しているんですよ!」と国会で言っていましたが、この場合の「まじめな先生」というのは「組合に入っていない教員」という意味でした。こんな風に組合員を堂々と貶めるのを聞くと、本当にひどい社会だと感じますね。憲法違反だし、国際人権規約違反だし、国会議員によるこういう発言が問題にならないことがとんでもないことなのですが。
by tamara (2010-03-20 22:10) 

mai

お久しぶりです。私は最近の情報に疎くて的はずれかもしれませんが、そもそも一般公務員と教職の方々というのは今の時代、その他の市民にとってある意味(汚い言葉ですが)ねたましい存在なのではないでしょうか。雇用は安定していていまの平均所得よりもかなり高い賃金が得られる。そして実際はそうでないと思いますが、仕事は比較的楽だと思われがちのようです(←これにはメディアの意図的報道もあるでしょうね)。「そういう「恵まれた」地位にいる者がさらに組合を作って権利ばかりを主張してけしからん」というふうに、かなり多くの人は長年のうちに思いこまされているように感じます。

もちろんtamaraさんのご意見の方が正しいですし、私も仕事柄公務員の方とはかなり接するのですが、政治や地域の事情について的確に判断されている人が多いことには感心しています。いまの日本は庶民同士を反目させて、上への批判をそらすように多くの政治家やメディアは動いているように思います(特に○経新聞など)。そうした風潮のなかで公務員、教員を叩いてうっぷんを晴らすという回路ができているように感じます。
by mai (2010-03-20 22:46) 

tamara

maiさん、お久しぶりです。
おっしゃるように、世間一般の教員批判(特に教員組合批判)には、何か見当違いの思惑が裏にあるように私も感じています。雇用が安定していて給料もいい、仕事も夏休みなんかあって楽をしている・・というような。最近は「教員は大変な職業」と思われるようになって志願者が減っているようですが・・。
一方、政治家はとにかく上に物を言う集団というのをたたきつぶしたがる。それで、教員組合をやり玉に挙げる土壌が常にある、という感じでしょうか。庶民同士が反目して、労働組合の存在意義が忘れさられているような社会では、労働環境は良くならず、格差も広がるがままですね。
by tamara (2010-03-20 23:48) 

じゅんじゅん

前述のタマラさんの記事の、この場合の「まじめな先生」というのは「組合に入っていない教員」という意味でした。とありますが、これは「組合に入っているではないのですか?ところで、私は4月よりめでたくフリーとなります。こんな過酷な仕事はやってられないと、ついに臨時採用の登録はしませんでした。安定より命が大事。確かに、同じ派遣でも、1年間という期限付きではありますが、maiさんがおっしゃるように雇用は安定しているかもしれません。しかし、私がいたこの学校では、途中から入った臨採の人が、パワハラのあげく辞めちゃいましたよー。自ら辞めたので、この場合派遣切りとは言わないのか。でも、結果は同じですよね。私自身もこの2月~3月にかけてはパワハラの嵐でほとんどノーローゼ状態でしたよ。まー、労働はというと朝は7時半より夜は7時まではごく常識ですね。一般企業にみなさん、部活朝練指導で7時に出社したりしないでしょう。
by じゅんじゅん (2010-03-21 17:12) 

tamara

じゅんじゅんさんさん、お久しぶりです。
「まじめな先生」は、「組合に入っていない先生」と定義されたのには私も唖然としました。今の国会、野党(前政権)の悪意に満ちた下品な発言がぽんぽん出てくるので聞き逃せません。
フリーになられたのですか。命が大事、おっしゃる通りですね。(私の回りは途中で辞めた教員がおおぜいいます。)それにしても教員の勤務が、ここまでひどくなるとは思いませんでした。病休の割合も他の職業に比べると格段に多いと聞きます。
「仕事があるだけでもまし」という考えが若い人の中にはしっかり根付いたようで、どんな労働条件でもがまんして当然と思っている風なのが哀しいですね。
労働基準法はどうなってしまったのか。自民党政権のせいで社会は完全に後退したと、心底怒っています。
by tamara (2010-03-21 19:49) 

ayu15

政治資金関連はなにが違反でなにが合法かさっぱりうちにはわかんないです。

このさい合法にしてたっぷり税をはらってもらいましょう。わすてたとかはさらに高い税金で(笑い)
冗談です。
by ayu15 (2010-03-23 12:06) 

tamara

国によって政治献金法もだいぶちがうようです。いずれにしても政治はすぐ利権と結びつくので、政治とカネ問題は簡単になくなりそうにないです。政治は「国民全体の幸福」を目指すべきで、そういう姿勢を持った政治家を選ぶようにしないとなりませんね。
by tamara (2010-03-23 21:17) 

shira

 どうも、ご無沙汰です。
 日教組批判は「日教組教育が日本をダメにした」という文脈で語られます。しかし、語っているご本人もその「日教組教育」を受けて育ったわけです。ということは、日教組教育を受けて育っても、それを対象化して批判するに十分な知力は身に付いたわけで、教育として十二分に成功していることになります。
 もし日教組教育とやらが本当に害悪であることを証明したければ、「この私を見ろ、こんなバカになっているじゃないか」と言わなければ証左にはなりません。
 「オレorアタシは大丈夫だけど、他の奴らや自分より下の世代はダメになった」ということだと、日教組教育を受けても自分くらい利口だとその弊害から立ち直れるが、他のバカどもはそうはいかない、という帰結になってしまって、つまりは単なる自慢話にしかなりません。
 ここいらへんは「すべてのクレタ人は嘘つきだと言うクレタ人」という有名なパラドックスの世界です。
by shira (2010-03-30 01:20) 

tamara

コメントありがとうございます。 なるほど、「クレタ人のパラドックス」ですか。 日教組批判というものが、常にもやもやと実体がない論のように聞こえるのはそういうわけですね。納得です。 ところで、日教組教育(?)を受けた子どもが成長したときに、社会は格差が拡大、貧困者が増え、就職もままならない、という状態は、やはり日教組教育のせい、と批判者は言うのでしょうかね?
by tamara (2010-03-30 21:31) 

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